藍色に染めた木の器に浮かぶ木目と、重なり合う円環

制作意義と美意識

木の性質を平坦に押さえ込むより素材との攻めぎ合いから立ち上がる痕跡を寧ろ残すこと

意義作為と偶然/差異と揺らぎ

1.——手懐けられないもので良い⋯

木材加工は単に、一律に加工されれば良いと言うものではない気がする。旋盤で挽き、焼き、染め、磨く過程の中で、木目や硬さ、傷、色の沈み方など、こちらの意図通りにはならない要素を多く含んでいて、制作とは、それら木の性質を手の内に抑え込むよりは、素材の側に潜み立ち現れてくる何かと向き合い、その痕跡を作品の中にどのように残せるかを探ることだと思い、完成された均質な工業製品のようなものよりも、制作の過程で生まれた差異や揺らぎ、あるいは僅かな不均衡の中にこそ、美しさが宿るように感じる。そのため、一点ごとに形も光も僅かに異なり、同じように見える作品であっても、木の流れ、色の沈み方、光の滲み方など、その差異は逆に豊穣の世界そのものとなる気がする。

木目や割れ、輪郭が際立つ木の器とランプシェードのモノクロ写真
美意識藍に透ける欅の呼吸

2. ── 天然の贈り物に、人間の意志を重ねる。欅の流線形を捉え、木材が持たぬ藍を施す⋯

無垢材の木肌は、そのままでも十分に価値ある美しさを持っている。しかし、そこにどのような色合いや質感を与えるか。それは、人間側に多少の介入が許された、創造の領域であると言える。私はあえて、木材が元々は持っていない「藍色」や「青味」を施す。木が本来持っている黄味や赤味。そこへ重ねられた藍の階層。それらが絶妙な透明度をもって互いに透けて見えるとき、量産品には決して出せない、深く神秘的なグラデーションが生まれると気付く。

「木肌の持つ自然の暖色」と「あえて施した寒色の藍・青」がレイヤーの透明度として重なり合い、互いを透かし見せるという色彩設計。

和紙の繊維とスケルトンリーフの葉脈が重なり合う素材のクローズアップ
美術コラージュ

3.──直感が引き寄せる、異素材のコラージュ ある素材にはどのような異素材が合うかに関心があって、美術文脈のコラージュと言う程のものではないが、シェードの部分では雲龍和紙にスケルトンリーフの貼り合わせ、器形状の台座の中には砂浜の砂を直感的に敷き詰めている。

千年経年変化

4. ── やがて剥がれ落ち姿を現す、千年の祈りの色 千年後の古色感/古材感 朽ち行くものの美、滅び行くものの美、経年変化 やがて剥がれ落ち姿を現す、千年前の祈りの色。

木の縁の下で細い竹ひごが交差する編み目のクローズアップ